生まれた土地へ帰る

夜行バスで出発し、早朝に着く。
父は地元から離れた所に転勤になっていたので、おばあちゃん家に住む。
一人で家に住むのは心配だったみたいだ。
まず父の転勤先に電車で二時間。
駅に迎えに来てくれた父とは5、6年ぶりに会っただろうか。老けてはいたが、変わらない少し言葉が少ないあの頃の父だった。
ポツポツと会話したが、あんまり多くを言わず詮索もしないで受け入れてくれた。
情けなくて、情けなくて。そして申し訳なく泣いた。あんなに冷たくしたのに、父は変わらず当たり前のように接してくれた。

一週間かもう少しだろうか、暫くは父の住んでいるアパートにいた。
ひたすら寝ていた。方向音痴だし、そこは何も無いので外に出るのは夕飯を選ぶ時だった。
パンとか食べてた。
父が仕事でいない時に自傷行為をしていた。
父は気づかないわけないのだが、何も言わなかった。ゴミ箱に血のついたガーゼがあっても。

ついにおばあちゃん家にいく。
おばあちゃん達とも実はあんまり良くない別れ方をしていたので、怖かった。ましてやおばあちゃんは母をよく思っていない。当たり前だ。
母方についた私を受け入れてくれるのか、モヤモヤしていて、そして怖かった。

芝生作業だったか、畑の準備だったか忘れたが、二人は庭にいた。
「よくきたなあ~。」にこにこ笑っていた。
どう返していいか分からなくて、「うん。」としか言えなかった気がする。
会えて嬉しいと言われた。「ゆっくりしてけ。」といわれた。
昼過ぎだったし、私は昔からよく食べる子だった。
「メシ食ったか?」と聞かれたがこの時もまだ拒食症気味だったので食欲もなかった。
父が代わりに「食欲落ちて今あんまり食べねくなってら」と言ってくれた。

その日から昔はお泊まりした時に使っていたお座敷が私の部屋となる。
衣食住が守られたこの畳の部屋で約1年過ごす。

食べて、寝て、日向ぼっこをして、病院に行き。
少しずつ少しずつ食欲を取り戻していく。
自傷行為もこの時まだしていた。
鬱にあまり理解を得れていないのでウダウダ言われたりもしていじけたり一人で怒って引きこもったりした。
2日何も食べなかった時、トイレに歩いたら転けたりして、流石に食わないのはあかんな。と学んだ。

叔父に言われる。
「いつまでもそうしてる場合じゃない」
「甘えるな。頼ることと甘えるのは違う」

叔父にもうんざりしてたし、そろそろ一人立ちしろ、といわれ私は仕事を探すことにした。
正社員で。
地元には仕事は無いので、離れた所を探した。
通勤しやすい様に家も探した。

接客しかしてきていないので接客で探した。
レストランでホール係として採用してもらえた。

社員だ。頑張るぞ。意気込んで働いた。